漢方

今から整える人は夏が違う!梅雨の不調と夏バテを防ぐ漢方の知恵

2026年6月19日

 

皆さま、こんにちは。
茨城県坂東市の漢方相談スガヌマ薬局、漢方薬剤師の菅沼真一郎です。

2026年6月9日(火)、坂東市中心市街地活性化センターにて、健康セミナーを開催いたしました。

今回のテーマは、「今から整える人は夏が違う!梅雨の不調と夏バテを防ぐ漢方の知恵」です。

講師には、中医薬研究会専任講師・医学博士の王愛延先生をお迎えし、梅雨から真夏にかけて起こりやすい不調について、中医学の考え方を交えながら分かりやすくお話しいただきました。

王愛延先生を講師にお迎えし、梅雨と夏の養生について学びました

まずは確認|梅雨から夏の漢方的養生ポイント

1.梅雨の不調に関係する「湿邪(しつじゃ)」

日本の夏、特に梅雨の時期は湿度が高く、体内に余分な水分や湿気がたまりやすくなります。中医学では、体の正常な働きを妨げる余分な湿気を「湿邪」と呼びます。

  • 体が重だるく、やる気が出ない
  • 頭痛やめまいが起こる
  • 食欲不振、胃もたれ、下痢がある
  • 足や顔がむくみやすい
  • 関節や腰が痛みやすい

2.症状や体質に応じて検討される漢方薬

漢方薬・処方 漢方で考える働き 検討される症状や体質
藿香正気散 体にたまった湿をさばき、胃腸の働きを整える 食欲不振、吐き気、下痢、頭重感、体の重だるさなど
麦味参顆粒 汗によって消耗した「気」と「陰」を補う 大量に汗をかいた後の疲労、口の渇き、暑さによる体力低下など
健脾散など 胃腸にあたる「脾」の働きを助ける 慢性的な食欲不振、胃腸虚弱、軟便を繰り返しやすい方など

3.食生活と生活習慣のポイント

ハトムギ、とうもろこし、小豆、緑豆などを食事に取り入れ、冷たいものや甘いものの取りすぎを控えましょう。冷房は我慢せず、冷えすぎないよう上手に使うことが大切です。

4.舌から分かる体調のサイン

  • 舌苔が厚く白くベタベタ:余分な湿がたまっているときに見られます。
  • 舌の縁がギザギザ:むくみや胃腸の弱りを考える手がかりになります。
  • 舌に亀裂がある:胃腸の状態や潤い不足を考える参考になります。

夏が近づくと、次のようなお悩みが増えてきます。

  • 体が重く、だるい
  • 朝起きても疲れが取れない
  • 食欲が落ちる
  • 頭痛やめまいが起こる
  • 足や顔がむくむ
  • 下痢や軟便になりやすい
  • 何もする気が起きない

「夏は暑いから、体調を崩しても仕方がない」と思われがちです。

しかし漢方では、季節による体の変化を早めに捉え、その時期に合った養生を行うことで、不調を予防しやすくなると考えます。

梅雨時に体が重くなる原因は「湿邪」かもしれません

梅雨に入ると、気温だけでなく湿度も高くなります。

適度な湿度は、皮膚や喉の乾燥を防ぐために必要ですが、湿度が高すぎると、体内の水分代謝にも影響を与えることがあります。

漢方では、体に悪影響を及ぼす余分な湿気を、「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。

「邪」とは、体の正常な働きを妨げる原因という意味です。

体内に湿邪がたまると、余分な水分が排出されにくくなり、体が重く感じたり、むくみや胃腸の不調が現れたりすることがあります。

梅雨を中医学的に考える健康セミナーの資料
中医学では、梅雨は「長夏」にあたり、湿邪の影響を受けやすい時期と考えます

湿邪がたまっているときに起こりやすい症状

  • 頭や体が重い
  • 朝からすっきりしない
  • 足が重く、午後になると靴がきつくなる
  • めまいや頭痛が起こりやすい
  • 食欲がなく、胃がもたれる
  • 軟便や下痢になりやすい
  • 便がすっきり出ず、便器に付着しやすい
  • 舌に厚くベタベタした苔が付いている
  • 舌の縁に歯形が付いている
  • 関節や腰が痛む
  • 湿度が高い日に古傷が痛む

このような症状がいくつも重なる場合は、湿邪の影響を受けている可能性があります。

梅雨の湿邪による身体的症状と精神的症状
湿邪は、だるさや頭痛、食欲不振だけでなく、気分の落ち込みや集中力低下にも関係します

湿邪には「重い・粘る・停滞する」という特徴があります

湿邪には、ほかの邪気にはない特徴があります。

湿邪は「重い」

湿邪が体にたまると、頭が重い、手足が重い、体全体が重だるいなど、重さを伴う症状が現れやすくなります。

湿には下へ向かう性質もあるため、足のむくみや下半身のだるさとして現れる場合もあります。

湿邪は「粘る」

湿邪は粘りつきやすく、すっきり取り除きにくい性質があります。

便や尿がすっきりしない、皮膚や口の中の分泌物がベタベタする、女性のおりものが増えるといった状態も、湿邪を考える手がかりになります。

湿邪は「停滞させる」

霧や雨の日に道路が渋滞しやすいように、湿邪が体に影響すると、気や水分の巡りが滞りやすくなります。

その結果、胸やお腹がすっきりしない、気分が晴れない、体が動かしにくいといった不調につながることがあります。

冷たいものの取りすぎも「湿」をためる原因に

夏は、冷たい飲み物や食べ物がおいしく感じられる季節です。

しかし、次のようなものが続くと、胃腸が冷えて働きが低下することがあります。

  • 冷たいビールや清涼飲料水
  • アイスクリーム
  • 冷たい麺類
  • 果物やスイカの食べすぎ
  • 甘いお菓子やジュース

漢方では、胃腸には、食べ物や飲み物を消化して必要な栄養を全身へ送り、不要な水分を排出する役割があると考えます。

胃腸の働きが弱くなると、飲んだ水分をうまく処理できず、体内に余分な湿が残りやすくなります。

冷たいものを取った直後は気持ちよくても、その後に食欲不振、下痢、胃もたれ、むくみ、だるさが現れる方は注意が必要です。

冷房は我慢せず、上手に使いましょう

近年の夏は非常に気温が高く、冷房を使わずに過ごすことは、熱中症の危険につながります。

冷房を無理に我慢する必要はありません。

大切なのは、冷房を避けることではなく、体を冷やしすぎないように上手に使うことです。

  • 冷たい風を首、肩、腰、お腹、足元へ直接当て続けない
  • 薄手の上着や腹巻き、靴下などで調節する
  • 冷房と除湿機能を使い分ける
  • 室内と屋外の温度差を大きくしすぎない

汗をかいた後に冷房の強い部屋へ入ると、体の表面は冷えているのに、体の中では水分が不足していることもあります。

梅雨の胃腸不調に用いられる漢方「藿香正気散」

セミナーでは、梅雨から夏に起こる胃腸の不調や、湿邪による症状に用いられる漢方処方の一つとして、藿香正気散(かっこうしょうきさん)が紹介されました。

藿香正気散は、湿度の高い時期に、次のような症状がある場合に検討される処方です。

  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 胃のもたれ
  • 下痢
  • 頭重感
  • 体の重だるさ
  • 冷たいものの取りすぎによる胃腸の不調

中国では、蒸し暑い季節の体調管理に広く知られている漢方処方の一つとして、家庭で常備されることもあると紹介されました。

同じ「夏のだるさ」でも、体質や原因は一人ひとり異なります。

すべての方に同じ漢方薬が適しているわけではありません。服用する際は、漢方に詳しい薬剤師などへご相談ください。

梅雨と真夏では、夏バテの原因が異なります

梅雨は「余分な湿」がたまりやすい時期

梅雨時は湿度が高く、体に余分な水分がたまりやすくなります。

この時期は、体や頭の重さ、むくみ、胃もたれ、下痢、関節痛など、湿邪による不調が中心です。

真夏は「気」と「陰」が消耗しやすい時期

梅雨が明けて気温が上がると、今度は大量の汗をかくようになります。

汗をかくと、水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質も失われます。

漢方では、汗をかきすぎると、体の潤いである「陰」だけでなく、体を動かすエネルギーである「気」も一緒に消耗すると考えます。

この状態を、「気陰両虚(きいんりょうきょ)」といいます。

  • 疲れやすい
  • 息切れや動悸がする
  • 汗が止まりにくい
  • 口や喉が渇く
  • 食欲がない
  • 寝ても疲れが取れない
  • 集中力が続かない

梅雨時の「余分なものがたまっている状態」と、真夏の「体力や潤いが不足している状態」では、必要な対策が異なるのです。

真夏の気と潤いを補う「麦味参顆粒」

セミナーでは、汗によって失われた気と陰を補うものとして、麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)も紹介されました。

麦味参顆粒は、次の三つの生薬を基本としています。

  • 麦門冬(ばくもんどう)
  • 五味子(ごみし)
  • 人参(にんじん)

体の元気を補い、必要な潤いを保ちながら、汗をかきすぎた体を支える働きが期待されます。

屋外で仕事をする方、スポーツをする方、大量に汗をかく方、暑さで体力が落ちやすい方などに用いられることがあります。

ただし、体質や持病、服用中のお薬によって適否が異なりますので、自己判断での服用は避け、専門家へ相談することが大切です。

夏を元気に過ごす食事のポイント

梅雨の時期におすすめの食材を紹介する健康セミナー資料
ハトムギ、とうもろこし、そら豆、緑豆、生姜、キャベツなどが紹介されました

1.豆類や雑穀を取り入れる

ハトムギ
とうもろこし
小豆・緑豆
そら豆・大豆
雑穀
大根

白米にハトムギや雑穀を少量混ぜて炊くと、無理なく取り入れやすくなります。

胃腸が弱い方は、一度に多く取らず、消化の状態を確認しながら少量から始めましょう。

2.たんぱく質を不足させない

暑くなると、そうめんや冷やし中華など、麺類だけで食事を済ませがちです。

炭水化物だけの食事が続くと、体力を維持するために必要なたんぱく質が不足します。

肉、魚、卵、大豆製品などを、食べやすい形で毎食少しずつ取り入れましょう。

3.香りのある食材を活用する

しそ、生姜、ねぎ、みょうが、大葉など、香りのある食材は、食欲を促し、湿気で停滞した体をすっきりさせる食材として使われます。

ただし、辛味や刺激が胃に負担となる方は、体調に合わせて量を調節してください。

4.甘いものを取りすぎない

漢方では、甘いものの取りすぎは、湿を生みやすいと考えます。

アイスクリーム、ジュース、菓子類などを毎日のように取っている方は、まず量や回数を見直してみましょう。

軽い運動で水分代謝を整える

湿邪をためにくくするためには、適度に体を動かすことも大切です。

  • 朝夕の涼しい時間に歩く
  • 室内で軽いストレッチをする
  • 足首を回す
  • ふくらはぎを動かす
  • 深呼吸をしながら体を伸ばす

激しい運動をする必要はありません。

ただし、真夏の日中に屋外で運動することは、熱中症の危険があります。暑い日は室内で行い、水分と電解質を適切に補給してください。

舌を見て、体の状態を確認してみましょう

漢方相談では、舌の色や形、舌苔の状態も体質判断の参考にします。

鏡の前で舌を出し、次のような特徴がないか確認してみてください。

  • 舌に厚く白い苔が付いている
  • 舌苔がベタベタしている
  • 舌がむくんで大きく見える
  • 舌の縁に歯形が付いている
  • 舌の中央に亀裂がある

厚くベタベタした舌苔や歯形は、胃腸の働きが弱り、余分な水分がたまっているときに見られることがあります。

舌だけで体質を決めることはできませんが、日々の体調を知る一つの目安になります。

「夏は体調が悪くて当たり前」と思わないでください

夏になると毎年体調を崩す方の中には、

「暑い季節だから仕方がない」
「年齢のせいだから仕方がない」

と、我慢している方も少なくありません。

しかし、梅雨時の湿邪による不調と、真夏の発汗による気力・潤いの消耗では、必要な対策が異なります。

体に余分なものがたまっているのか、それとも体力や潤いが不足しているのかを見極めることが大切です。

漢方では、同じ「だるい」「食欲がない」という症状でも、胃腸の状態、舌、睡眠、汗のかき方、便通、冷え、生活環境などを総合的に確認して漢方薬を選びます。

市販の漢方薬を試しても変化を感じられない場合は、現在の体質や症状に合っていない可能性もあります。

夏の不調は漢方相談スガヌマ薬局へ

漢方相談スガヌマ薬局では、次のようなご相談を承っています。

  • 梅雨になると体が重くなる
  • むくみやめまいが気になる
  • 夏になると食欲がなくなる
  • 下痢や胃もたれを繰り返す
  • 大量の汗でぐったりする
  • 毎年夏バテしてしまう
  • 冷房で体調を崩しやすい

現在の症状だけでなく、舌や胃腸の状態、生活習慣、服用中のお薬なども確認し、お一人おひとりに合った漢方薬と夏の養生法をご提案します。

梅雨のだるさ・むくみ・夏バテでお悩みの方へ

夏本番を迎える前から体を整え、暑さに負けにくい体づくりを始めていきましょう。

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次回健康セミナーのお知らせ

夏こそ大切!肝臓を守る漢方的健康法
~脂肪肝・生活習慣病を防ぐ方法~

日時:2026年7月15日(水)13:30~14:30
会場:坂東市中心市街地活性化センター2階会議室
参加費:無料

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※漢方薬の適応は、症状や体質によって異なります。

※医療機関で治療中の方や処方薬を服用中の方は、自己判断で服用を中止せず、医師または薬剤師へご相談ください。

※強い頭痛、意識障害、高熱、繰り返す嘔吐などがある場合は、熱中症などの可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。

 

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